20231002

『"創造"が最も危険な武器になる』
 例えばそれは『超強い力士シール』であり、鋼人七瀬であり、AD市川に取り憑いたお岩さんである。つまり『人間の集合的無意識の産物』を言う。と私は解釈する。

 この場合の『集合的無意識』とは、不特定多数の人間の「それが存在するかもしれない」「出会いたくない」「むしろ存在してほしい」、何でも構わないが、そういった想像・妄想が一点に収束し、形を得たものを指す。例えば日本には古くは妖怪、昭和には口コミで日本中に広まった都市伝説、現代ではネットロア、『実際に目にした訳では無いが気づけば共通認識として名や形を与えられた概念』はいつの時代にも存在する。その中で力を持つに最も重要なのが『概念が名を得ること』、名を得て想像を集約してしまうこと、というのはおひいさまの解説通り。

 もっと単純に解釈してしまってもいい。要するにこの"創造"を、"デマ"や"思い込み"に言い換えるのだ。故意・過失問わず、誰か一人の誤った解釈が拡散され、あたかもそれが事実であるかのように扱われ、始めは根も葉もない嘘だったかもしれないが、集団に共有されてしまえばそれは一種の"真実"として扱われる。インターネットの普及により同じ方向性を持った人間同士が集りやすくなり、エコーチェンバー現象でその"真実"は(集団内での)ディテールを深めて行く。これもまた妄想が形を得る一例である。

 "創造"は地球上で人間だけが持つ特殊能力だが、一歩間違えればそれは恐ろしい武器となる。都市伝説が物理的な形を持つというだけの話ではない。被害妄想や独裁者の洗脳、『仮想敵』という"創造"により人間は壊滅的な被害を受け、与え続ける。蔓延した恐怖は決してフィクションだと笑い飛ばせるものではないのだ。